海外住み女の頭の中

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イタリアでの励ましの言葉と国境

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タイトルの内容に入る前に少しだけこの1週間で起きたことを以下ざっくり書きます。

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イタリアではご存知の通り、
COVID-19の影響でスーパーと薬局、病院などを除く商業的施設、バー、レストランなどは3月12日から3月25日まで営業停止になった(※延長になる可能性あり)。

イタリア全土封鎖(ロックダウン)は4月3日までだが、今の状況を考えるとかなりの確率で延長になるかもしれない。

私たちは仕事、買い物、健康、家庭の理由でない限り自宅で自主隔離をするように言われている。

指定された自己宣誓フォームに、必要事項を記載し、外出時はパスポートやIDカードなどの身分証明書と一緒に携帯が義務付けられている。

フォームには
住所、名前、移動の理由と
※自分は自己免疫措置の対象となっていない、
コロナウイルス検査で陽性となっていない旨などを記載する。
(※最近追加された事項。フォームがアップデートされた)


主要な道路や駅には警察がいて取り締まりが行われている。

自分の住む地区内(半径5-6キロだろうか?)でしか移動が許されていないので、ペルージャの田舎に住む私たちはペルージャのチェントロ(市街地)に行くこともできない。

犬の散歩は一人だけ認められているが、
時間が長くならないようにとのことだ。

スーパーには一人ずつしか入れないため、1mの距離を保ち、列ができている場所もある。

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日本にいる人は慌てないように今からでも必要なものを買い占めない程度に備蓄しておくことをおすすめします。

今は私は長蛇の列に並びたくないので
自家製納豆作り用の大豆が買えない状態泣。

ロックダウンは突然施行されるので
今のうちに乾物類、米、大豆、調味料、発酵食品などは買っておくと良いです。

女性は長期戦に備え、布ナプキン月経カップがあると良いです。
私は買いそびれたので、布ナプキンを作ろうか迷っています。

トイレットペーパーはなくても水とバケツがあれば問題ないので気にする必要はないかと思います。


こんな状態です。
でも慌てずに元気にやっています。

では以下タイトルの内容に入ります。

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一週間前

「Forza Italia insieme
(一緒に頑張ろうイタリア)」

と何気なくいったら

「もうイタリアは充分に頑張ってる。
 私はForza Italia とは言えない」

と市街地で商売をしている
イタリア人の友達につっこまれてしまった。

そこで

「あ、しまった」と思った。


被災者や鬱病など精神疾患のある人に対して

「頑張れと言うな」

と日本でも繰り返し言われてきた。

なぜならもう当事者は充分に頑張っていて、
言われなくてもわかってる。

本人を追い込むことになると。



「Forza Italia (頑張れイタリア) とは言えない」といった友達は市街地で商売をしている。

今回の新型コロナの影響は売上に大きく響く。

それがどれほど長引くのかわからない。

経済的打撃も避けられない。
不安になるのも当たり前だろう。


パニックになったり、
落ち込んでいる人には
私があれこれ言う必要はない。


「Un abbraccio (ハグ)」

とか

「❤」

と短く愛情を伝えるだけで十分だったのだ。



Forza Italia (頑張れイタリア) はSNSでもよく目にしていたから、イタリア人は自分たちを励ますために使っているのかと思っていた。

しかしよくよく考えると、
Forza Italiaは海外のメディアやイタリアが好きでイタリア語を解する外国人が多く使っていたかもしれない。


とにかく彼女との対話で

「頑張れと言うな」には国境がないことを学んだ。


思い起こせば

「頑張れ!」

はマラソン大会やバスケ部のときに言われるのが嫌だったな、と思い出した。


「頑張れって言うならあなたもやってよ」

という気持ちになったものだ。



少し前から
イタリアでよく聞かれるようになった言葉は

'Andrà tutto bene.'
(アンドラ・トゥット・ベーネ)

英語なら 'Everything will be alright.'

「きっとすべてうまくいく。大丈夫。」

という意味だ。

虹の絵とこのフレーズがセットになっている。

もしかするとこれもそのうちタブーワードに認定されるかもしれないが、
Forza Italiaよりは今のところよさそう。


イタリア人ならではの励まし合い方といえば
ニュースにもなったフラッシュ・モブだ。

家から出られないのでバルコニーに出て、
歌を歌ったり、音楽や踊りで励まし合っている。

時間を決め窓からキャンドルを灯すこともあるし、医療従事者に対して拍手を送ったりもしている。

しかし私たちの住んでいる場所は田舎なので
このフラッシュ・モブに参加できない。
少し寂しい笑


またイタリアに住む人たちの間だと

「私は家にいます」

と明確に示すために
#iostoacasa
#iorestoacasa

というハッシュタグもよく見かける。
自分もSNSに投稿するときはときどき使っている。


そういえば
ツイッターである海外在住のイタリア人が、
居住国の新型コロナ対応がイタリアほど真剣でないことを憂慮し、#CORONAHASNOBORDERのハッシュタグで警鐘を鳴らしていた。

'Corona has no border.'

コロナウイルスに国境はない」

地球上の国境を取り除くのは
愛でも音楽でも医師団でもなく、
まさかのコロナウイルスなのか。


思ってもみなかったアプローチだけど
案外その通りかもしれない。

ナショナリズム、人種差別、環境問題が加速して歯止めがきかなくなっていたこれまでの状況を考えると、ウイルスでもない限り、地球上の地球人である私たちは決して1つにまとまることはできないのかもしれない。

まだぜんぜん1つになれていないが。


今はまだ、
未来がどうなるのかを考えるのは早すぎる。

時間をかけて少しずつわかっていくのだろう。


これから先も、
今まで以上に
世界の動きを見ていくと決めた。



「Forza Italiaといいたくない」

といった彼女の返信には、
❤だけを贈った。

精神的に疲弊している彼女に
反論も自分の考えを押しつけることも
意味がないと思ったからだ。

彼女はいいねを返してきた。

こういうときEmojiは楽だ。


たくさんの言葉は、
ときに必要ない。


生ものである言葉の捉え方や意味は、
フェーズによっても人によっても変わってくる。



今はイタリア人には

Andrà tutto bene. (きっとうまくいくよ)

Un abbraccio (ハグ)

または、

を贈ろう。