カナリヤ諸島 太陽と海と全裸族

スペイン、カナリヤ諸島のフエルテヴェントゥラを旅した。
ビーチを歩いていると、1-2人が入れる大きさの石造りのシェルターをいくつも見かけた。
シェルターは高さ50cm-1m程度で、中を覗こうと思えば覗けた。
そのシェルターの中で横になり、日光浴を楽しんでいる人々を見かけたりした。
「面白い仕組みだな」
そう思い、私も一つ空いているシェルターを見つけた。
その中に持ってきていた大きめのストールを敷き、寝転がって日光浴と海の景色を楽しんだ。
ランチタイムになり、持ってきていたお弁当を食べようと上体を起こしてふと隣のシェルターを見た。
小麦色に焼けた男性が、太陽と海に向かって全裸で仁王立ちをしていた。
「やばい。変態が隣にいる。」
そうは思ったものの、無視して視界に入らないようにしながら、弁当を食べた。
それからまた寝転んで日光浴を続けた。
すると、
「ヤーヤー亅
と隣のシェルターから聞こえてきた。
「あ、全裸の人はドイツ人か。」
ヤーはドイツ語のイエスを意味する。
ドイツ語を話すのは、
ドイツ人、オーストリア人、一部のスイス人だが、ドイツからダイレクトフライトがフエルテヴェントゥラに飛んでいて、ホテルのビュッフェでドイツ人観光客をちらほら見かけていたのでドイツ人だと自分の中で断定した。
余談だが、フエルテヴェントゥラの観光客で一番多いのはイギリス人。次にイタリア人、そしてドイツ人だった。
アジア人観光客は皆無だった。
中心街に中華料理(Wok)レストランがある程度。
話を戻す。
全裸のドイツ人が通りがかった誰かと話をしているようだった。
顔見知りのようで、裸でいることを咎められてはいないようだった。
日が傾き始めたのでホテルに戻り、
イギリス人夫に
「全裸のドイツ人が太陽に向かって仁王立ちしてたよ。びっくりした。」
と教えて二人でネタにした。
翌日。
またビーチでダラダラしたい私は、夫のバギーツアーヘの誘いを断り、片道徒歩1時間かけてビーチへ向かった。
ビーチに石造りの一人用シェルターが多いところまで歩いてくると、あることに気がついた。
前日見たような全裸の人がひとり、またひとりと現れたのだ。
石造りの一人用シェルターの中で、真っ裸で太陽に向かって立っている。
全身チョコレートのように焼けていた。
その他にも、全裸で簡易テニスをしたり、
海の中ではしゃぐカップルもいた。
自分の視界にモザイクをかけ、遠くから見ただけだが、少なくとも10人ほど全裸の人を見かけた。
全裸族と名付けたい。
「これは...... そういうことか。
みんな全裸で太陽崇拝をしているんだな。
ここでは、服を着ている方がおかしいんだ。
私も太陽崇拝しよう。」
シェルターはほぼ満席だったが、
なんとか一つ空いているシェルターを見つけた。
大きめのストールを敷いて、ビキニになった。
そして、ビキニの上だけを取って、トップレスになった。
そのまま寝転がり、太陽に身体を向けた。
潮風と波の音。
石造りの一人用シェルターは、
フエルテヴェントゥラの強すぎる風と砂埃、
そして干渉したがる人々から私を守ってくれている気がした。
ぽかぽか暖かい太陽の日差しを浴び、身体が喜んだ。
自分を全開放し、全解放する。
もう隠さなくていいんだよと、
太陽と青い海に肯定されているようだった。