海外住み女の頭の中

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毒注入

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芝生の上を裸足で歩いているときに、右の足裏の小指と薬指の間に激痛が走った。


この激痛には覚えがあった。


スズメバチか」


しかし、足の裏ではスズメバチらしき、
ブーンとかズズッといった音や動きがなかった。


だから正確にはわからない。

静かなる何者かが足の裏を刺した。


と言うか、運悪く、お互いが気が付かないまま私が踏んづけてしまった形だ。



激痛が走る足を刺激しないようゆっくりと歩き椅子に腰掛け、足の裏を確認した。

とにかく痛い。


粘着質な小さな袋のようなものがついた針がポロッと取れた。


そして小指と薬指の間から足の甲にかけて毒が急速に広がっていくのがわかった。


「毒を止めないと」

と思いなんとなく足の甲をぎゅっとおさえた。

しかしそれはなんの意味もなさなかった。


小指と薬指の間から毒は広がりたいところまで広がり、人差し指の辺りで止まった。

範囲としては半径10cm程。


毒が身体の中を伝う様子が生々しくわかり
少しだけ感動した。


感動という表現が正しいのかはわからない。

けれど、身体の中に毒が注入され、拡大していく様子がリアルにわかったのは不思議な感覚だった。



実はスズメバチに刺されたのはこれが初めてではない。


去年か一昨年も刺された。

だから冷静になっていられた。


前回は庭でシーツを干す時。

バサッとシーツを広げたら
それに驚いたスズメバチがいきなり攻撃的になり私の手の指を刺した。

シーツを広げるときのバサッという動きがスズメバチに恐怖を与えたのだろう。


ミツバチと違い、スズメバチは一度刺しても死なない。


一度刺しただけでは足らなかったようで、もう一度刺そうと相手は攻撃体制を整えた。

その姿は何だか凛々しかった。


「まずい」と思い、慌てて家の中へ逃げた。


急いでスズメバチに刺されたときの対処法をネットで調べた。


刺されたときはまず、水で患部を絞るようによく洗うらしい。毒素が薄まるとかなんとか。

刺されたあとに重症化する人としない人がいる。

そして二回目に刺されるほうが抗体を持っているので症状が酷くなるらしい。

抗体を持っているから酷くならないのではなく、
抗体を持っているから酷くなる、
というのが報われない感じだ。

アナフィラキシーショックで亡くなる人も割合は少ないが、いる。

今思うとちょっと重症化するパーセンテージがコロナっぽいと思った。


私は症状を注視していたが
意識もはっきりしていたので症状が軽いと判断し自分で処置をした。


と言うか、ハチ刺されには特効薬も何もないらしい。

そういえば看護師の母が草むしりの最中にスズメバチに刺され、病院に行き、医師から何も処方されなかったと随分前に言っていた。

だからアナフィラキシーショックがない限り病院に行っても意味がないとわかっていた。


刺された後しばらくすると、痛みより痒みが襲ってくる。

そして個人差があると思うが、
私は少し息苦しくなり、1週間ほどお腹が下った。

「身体が頑張って毒を出してくれているな」

と思った。


今回刺された場所は足だったので、4日間くらい象足のように足が真っ赤に膨れた。
そして蚊に刺されたときの10倍の痒さが続いた。


せめて足の痒みを抑えるため、
腫れた場所の処置をすることにした。


野草のカモミールとマルバ(マロウ)をつんできて、小さな綿の布に入れて縛り、ハーバルボールを作った。

カモミールはイタリアでは(?)ものもらいの時に患部に当てると聞いたことがある。

マルバについては、歯医者から口の中の炎症を抑えるのに濃く煮出してうがいすると良い、と聞いたことがあった。

どちらも炎症を抑えるのにはもってこいなので今回採用した。


ちなみに、ハーバルボールはタイのマッサージの施術でも主流で、ハーバルボールを作っているとき少しだけそのことを思い出した。

「昔の人はどうやって自然のもので治療すればよいのかわかっていたんだな」

と思った。


お湯を沸かし、ハーブティーを入れるようにハーバルボールの上からお湯を注ぎボウルに入れて冷ました。

足が痒くなったら、ハーバルボールをポンポンと患部に叩いた。

そうすると足の痒みと赤みがしばらくすっと消えた。

また痒くなったらハーバルボールでポンポンと叩く、を繰り返した。

ついでに普通の虫刺されにもポンポンしてみたがすぐに腫れとかゆみが引いた。


一週間も経つと痒みも毒出しもおさまった。


「お疲れ様」


と身体に伝えた。


自然界の毒は自然に治す、
を実践した経験になった。


刺されないことが一番だけれど。


(医療の専門家ではないので、上記はすべて個人的な見解です)


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(摘んできたマルバ)